ダーウィン事変(1)☆5
人間に食べられるためだけに生かされ殺される動物。それを食べることを良しとしない信条の「ヴィーガン」という人たちがいるのは聞いたことがある。「ベジタリアン」をもっと厳格にしたものだろうという認識しかないが。
この物語にはもっと過激な思想の「動物解放同盟(ALA)」が登場し、肉を食べる人間は許さず排除しなければならないというものだ。実際にニューヨークで爆発テロまで起こしてしまう。この事件のせいで、テロに関わらないただの「ヴィーガン」さえテロリストではないかと判断され白い目で見られる。
このマンガの真ん中に登場するのが、チンパンジーの母親と人間の父親から生まれた半人半猿のチャーリーだ。絵柄はかわいいが、人間より賢くチンパンジーより強い。
人間が彼に問うセンシティブな問題に、チャーリーは悩むことなく即座に回答する。その人間側でもなく動物側でもない意見がボクたちに新しい世界の見せ方を教えてくれる。全く新しい価値観と言ってもよい。
遠くない未来にありえるかもしれない現実。その時人類はチャーリーを受け入れられるだけ精神的に成熟しているのだろうか。
多民族国家のアメリカが舞台というのも良い。これが日本だとドラえもんかラノベ的な扱いになりギャグで済まされていただろうから。